2008年10月09日

M&Aは何のために(その4) 「M&A国富論」

今日は私の就職先での業務になるM&Aを扱います。

M&Aに関しては「会社は誰のものか?」ということで、

一時期議論になりました。

しかし、この本ではそういう議論ではなく、

そもそも「国のためにM&Aを!」という大きな視野から

筆者のお二人が制度設計まで踏み込んで考えておられます。

私もこの業務に携わる人間として大いに参考になりました。



それでは、早速エッセンスを抜き出していきましょう。



・(敵対的買収ルールに関する東京財団案)

 提言1:会社支配権の移転手続き明確化制度の創設

 ・・・株式上場会社について、取締役決議により、

 「議決権の行使について、株主が有する株式の数が

 発行済株式総数の20%未満であることを行使条件とする」ことが

 できるものとする。

 本制度は、取締役会決議によりいつでも解除できる。

 既存の株主で、すでに20%以上の株主を持っているものが

 いる時にはそのものの同意を必要とする。

 上記導入決議は、株主の誰かが対象会社の支配権の取得を

 目指すことを宣言してからは行うことは出来ない。

 上記導入決議は、取締役の選解任要件を

 定款で加重している会社は、行うことが出来ない。

 あわせて、委任状争奪戦のルールをより公平な戦いが

 出来るよう改善する。

 (会社法と金融商品取引法をまたぐ特別法の制定が必要)



・提言2:公開買付ルールの改正

 ・・・「取締役選解任の委任状争奪戦の勝利を成立条件とした

 公開買付」を認める。公開買付期間は現行の最短60営業日から、

 最長120営業日まで可能とする。(金融商品取引法の改正が必要)



・提言3:種類株式の上場の容認・・・複数議決権株式の上場、

 議決権株式のみの上場等、会社の実情に応じて設計される

 種類株式の情報を幅広く認める(証券取引所ルールの改正が必要)



・猛スピードで成長しながらも、社会性、公共性といったところにも

 配慮した経営を行っているグーグルは、

 ポスト産業資本主義をリードしている会社であるといえるでしょう。



・グーグルの採用した種類株式・・・

 A株は一株一議決権、B株は一株十議決権という設計



・かつてのメインバンク制のもと、ガバナンスが機能していた状況・・・

 三越岡田社長を解任したときの三井銀行の小山五郎相談役、

 マツダが危機を迎えた際の住友銀行出身の和田社長



最初に抜き出した提示案は委任状争奪戦とTOBの組み合わせです。

ただTOBで決着するのではなく、

委任状争奪戦を組み込むことで、

その結果が自分の保有する株式の価値に跳ね返るため、

会社の付加価値を高める経営者を真剣に選ぶ

インセンティブがあります。

この案の是非を考えるまでの能力は私にはありませんが、

M&Aにおける制度設計がいかに大事かということを

認識できたことは非常にいい経験でした。







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posted by うお at 21:00| Comment(1) | TrackBack(1) | 経済、金融、投資銀行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月07日

M&Aは何のために(その3) 「M&A国富論」

今日は私の就職先での業務になるM&Aを扱います。

M&Aに関しては「会社は誰のものか?」ということで、

一時期議論になりました。

しかし、この本ではそういう議論ではなく、

そもそも「国のためにM&Aを!」という大きな視野から

筆者のお二人が制度設計まで踏み込んで考えておられます。

私もこの業務に携わる人間として大いに参考になりました。



それでは、早速エッセンスを抜き出していきましょう。



・(イギリスとアメリカの違いについて)

 第一に、買収防衛策の導入等については、

 株主総会の判断が原則になります。

 ある人が会社の議決権の30%以上を取得しようとして

 TOBをかける場合、対象会社の株式の保有者全員に

 買い付けの募集をしなければならないというルールがあります。

 (全部買付義務)



・さらに会社買収と手続きが、

 テイクオーバーパネルという民間団体の監督の下、

 シティコードという買収ルールに基づいて厳格に行われます。

 買収が起こるたびに、テイクオーバー・パネルが、

 買収する側と買収される側の両方に関するできる限り

 客観的な情報を株主に与える役割を果たします。



・イギリスの制度のいい部分については、

 日本で制度を考える際にも大いに参考にすべきです。

 特に重要なのは、株式に客観的で公平な情報を与えることによって、

 TOB価格を判断基準にする仕組みが生み出す

 「美人投票」的な不安定性を出来るだけ取り除くという点です。



・「ホールドアップ問題(敵対的買収に伴なう資本、技術流出)」

 =組織の不可逆性



明日も乞うご期待。お楽しみに。







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posted by うお at 21:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済、金融、投資銀行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月06日

M&Aは何のために(その2) 「M&A国富論」

今日は私の就職先での業務になるM&Aを扱います。

M&Aに関しては「会社は誰のものか?」ということで、

一時期議論になりました。

しかし、この本ではそういう議論ではなく、

そもそも「国のためにM&Aを!」という大きな視野から

筆者のお二人が制度設計まで踏み込んで考えておられます。

私もこの業務に携わる人間として大いに参考になりました。



前回の記事で友人つだっくからコメントをいただきました!

つだっく、有難うね!

本当に指摘してくれた通りです。

立場が変われば会社のものの「定義」も変わるわけで、

神学論的な議論になって不毛です。

そういう議論ではなくて、

どういう制度設計をすれば「国益」「社会利益」に資するか

このような視点で制度設計における議論をしなければ

それこそ金融界における「利益」にならないでしょう。



それでは、早速エッセンスを抜き出していきましょう。



・効率性と安定性のこの必然的な二律背反は、

 株式市場を論じるうえで常に前提として、

 頭に入れておく必要があります。



・株式の売買には、このような総会議決権の売買も含まれています。

 したがって、株式の売買は、

 経営者をクビにする権利の交換でもあるのです。

 これは単なるリンゴやデリバティブの取引を超える、

 株取引の特徴で、会社買収を考えるにあたっては

 必ず押さえておくべき事柄です。



・株主批判より制度改正の議論を



・最高裁の判断は、買収防衛策の適法に関して、

 株主総会がイエスと判断したこと、

 ブルドックソースがスティールに金銭的補償をしたことを、

 大きな根拠にしました。

 当期利益七億円弱のブルドックソースが二十三億円の対価を、

 スティールに払ったということを追認してしまった。



・私達はこのマイナスの影響を「グリーンメールへの招待状」

 「持ち合いの推薦状」と呼んでいます



明日も乞うご期待。お楽しみに。







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posted by うお at 20:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済、金融、投資銀行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月05日

M&Aは何のために(その1) 「M&A国富論」

今日は私の就職先での業務になるM&Aを扱います。

M&Aに関しては「会社は誰のものか?」ということで、

一時期議論になりました。

しかし、この本ではそういう議論ではなく、

そもそも「国のためにM&Aを!」という大きな視野から

筆者のお二人が制度設計まで踏み込んで考えておられます。

私もこの業務に携わる人間として大いに参考になりました。



それでは、早速エッセンスを抜き出していきましょう。



・(M&Aを考える際に)

 「そもそも私たちは何に価値を置くのか」ということと

 「その価値を高めるルール作りをどうするのか」を考えない限り

 永遠に答えは出ません。



・今でも、中小会社では、銀行による

 モニタリング(財務審査、チェック)が

 まだ重要な役目を果たしているところもありますが、

 上場会社ではそのような効果は

 かなり減ってきたといえるでしょう。



・(J-POWERの事件をふまえて)
 
 世界的に見て、安全保障にかかわる会社に関して、

 国が何らかの投資規則を設けること自体は問題ではありません。

 むしろ当然のこととして受け入れられています。

 規則が悪いということではなく、民営化すべきなのかどうか、

 また、民営化するのであれば、どのようなルールを導入すべきか、

 議論を尽くさなかったことが混乱を招いているのです。



明日も乞うご期待。お楽しみに。







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posted by うお at 21:14| Comment(2) | TrackBack(0) | 経済、金融、投資銀行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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